「風立ちぬ」は「風が立った」という意味です。 [こども・学校・教育]
先日テレビで「風立ちぬ」の放映があったので思い出したけど
「風立ちぬって、風立ったんですか、立ってないんですか?」
これ、よく聞かれる。けっこう定期的に質問される。
ようするに、「ぬ」の意味が 完了なのか否定なのかどっちなのか?
ってことだ。
正解はもちろん 「風が立った」。風は立ったんだよ~!
でも、答だけ言っても なぜそう判断できるのかまで説明しないと
相手は納得できないようで。
この完了の「ぬ」、他にも「夏は来ぬ」とか「風と共に去りぬ」とかある。
夏は来たんだよ!!風と共に去ったんだよ~!!
ポイントは「ぬ」の直前。
「立ち」+「ぬ」
「来(き)」+「ぬ」 「去り」+「ぬ」となっていること。
これがもし、
「立た」+「ぬ」「来(こ)」+「ぬ」
「去ら」+「ぬ」 だったら、否定の意味になる。
どっちかな~と思ったら、
現代文の「ない」におきかえてみればいいんだよね。
現代なら「立たない」と言い、「立ちない」とは言わないでしょ?
同様に「来(こ)ない」「去らない」と言い、
「来(き)ない」「去りない」とは言わない。
「風立ちぬ」は「立ち+ぬ」だから、否定ではない。
現代語と同じく、否定だったら「立たぬ」となる。
「夏は来ぬ」も「き+ぬ」だから、否定ではない。
「来(こ)ぬ」と読んでたら、否定の意味。
「風と共に去りぬ」も「去り」+「ぬ」だから・・・
否定だったらどうなる?そうです、「去らぬ」ですね!
文法的に説明すると、直前にある用言の活用が未然形なら否定、
連用形なら完了。ってことだけど
そう言うとまたとっつきにくくてわかんない~ってなっちゃうので
現代語と同じように考えればOK! で、いいんじゃないかなぁ。
(余計な脱線話ですが私の出身地の群馬県東部あたりでは
「来(き)ない」と言います。「バスまだきないんねぇ~」とか。
でもこれは方言なので文法の世界では通用せず。)
この「ぬ」どっちの意味だぁ?と思ったら現代語の「ない」に置き換えて
「立たない」のように変じゃなければ否定。
「立ちない」のようにおかしかったら完了!
・・・で、他の言葉の「ぬ」にも応用がきくと思います~。
・・・・・
けどこれ、中学で教わる文法の範囲じゃないか?
けっこう基本的なとこだと思うのだけど・・・
こうした言い回し、明治時代の作品にはけっこう出てくるから
これが理解できてないと 文章の意味も???になると思うけどなぁ~。
現代では「ぬ」は否定の意味にしか使われないので
どうしてもその意味に引っ張られるんだと思うけど
見分けは案外簡単だということで。
これで「ぬ」に迷う人が一人でも減ればいいな~っと思いつつ・・・。
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